未来屋書店内での海外文学なるジャンルの確立に日々いそしんでいる、ただの海外文学好きによる連載です。
時々、書店員のお仕事もお送りします。書店員という現場目線のお話をお届けできれば幸いです。
書店員の仕事といえば、品出し、POP作成、本の発注……そんなイメージではないでしょうか。
今回は、それじゃない方のお仕事のお話です。
未来屋書店の公式YouTubeに『推しえて作家さん!!!』というコーナーがあるのをご存じでしょうか。
どうか知っていてほしい。
そして、どうか見ていただきたい。
このコーナーでは、作家さんをお招きして、お人柄や作品についてじっくりお話を伺っています。
「どうしてこの作品を書こうと思ったのですか?」
「実はあの場面にはこんな裏話があって……」
そんな、本を読んだだけでは知ることのできないお話が飛び出す、とても楽しい企画です。
これまでたくさんの作家さんにご出演いただいています。
本当にすごいことです。ありがたいことです。
……そして、その裏側は結構たいへんです。
準備は一か月以上前から始まります。
打ち合わせをして、これまでの作品やエッセイ、雑誌でのインタビューを読み込み、質問を考え、台本を作り、スタジオを予約し……。
収録当日まで、意外とやることがたくさんあります。
実は私も、たまに進行役として出演させていただいています。
毎回、ものすごく緊張します。
前日は何度も何度もシミュレーション。
「ここでこう聞こう」
「この流れなら次はこの質問」
…と完璧な自分を脳内で演じるのですが、本番になると毎回「あそこはもっとこうできたなあ」と反省会が始まります。
先日も、ある女性ミステリー作家さんとの収録がありました。
とても気さくな方で、お話が面白い。
「その話、もっと聞きたい!」
と思ったその瞬間。
スタッフさんのカンペ。
『次の話題へ』
はい。
さらに少しすると。
『あと5分』
待って。
まだ聞きたいこと山ほどあるんですけど。
時間って、こんなに早くなくてよくないですか。
しかも、そのカンペより困るものがありました。
モニターに映る台本です。
私、目が悪いんです。
絶妙に読めない。
見ようとして目を細める。
結果、めちゃくちゃ怖い顔になる。
作家さんのお話に感動しているのか、にらんでいるのか、自分でもよく分かりません。
毎回そんな感じですが、
「作家さんの魅力を少しでも引き出して、それを見てくださる方に届けること」が自分の役目だと思って挑んでいます。
だからこそ、毎回反省ばかり。
「そのうち担当を外されるんじゃないか……」
と、ひっそりドキドキしています。
でも、やっぱり続けたい。
作家さんの知られざる一面や制作秘話が聞ける、とても面白いコンテンツなので、ぜひ一度ご覧いただけたらうれしいです。
さて、最近もう一つ、初めて経験した「書店員っぽくない仕事」があります。
会社の採用サイト用の写真撮影です。
品出し。レジ。お客さまをご案内する様子。
普段どおりにしているつもりなのですが、カメラを向けられた瞬間、顔が固まる。
そんな私を見て、カメラマンさんが一言。
「歯、出してこ!!!」
その瞬間、遠い昔の新卒研修の記憶がよみがえりました。
そうだ。
「ウィスキー」だ。
飲む方ではありません。
言う方です。
「ウィスキー」と言うと口角が上がって自然な笑顔になる、と教わったあれです。
本を持ちながら、「ウィスキー」とつぶやいて笑顔をつくる私。
客観的に見ると、かなり不思議な光景だったと思います。
採用サイトも近々更新されるそうです。
もし笑顔が少し自然だったら、それはきっと「ウィスキー」のおかげです。
みなさん。
笑顔に困ったら、とりあえずウィスキーです。
お読みいただき、ありがとうございました。
