文章は書かなくなると書けなくなる。手書きの字もしかり。だからといって、手書きでお届けするのは難しいので、手紙を書くような気持ちでこのコラムを書くことに決めました。私の「本っていいなぁ」という気持ちが、誰かのちいさな気づきや幸せにつながりますように。そう願いながら綴ります。
こんにちは。いきなりですが、読書会に参加したことありますか? 一般的には本を持ち寄り、本について話す会ですが、私は勝手にハードルが高そうと思っていました。でも、参加してみたら全然そんなことはなく、実際に体験した読書会を3つ紹介したいと思います。
◯ 本好きの人たちと自由に紹介しあう
読んで面白かった本をそれぞれが紹介する読書会。時には本屋大賞ノミネート作などの縛りもあり、場所は個室の居酒屋や誰かの家でやることも。
書店員時代はよく小説のPOPを書きましたが、この読書会に参加して、読み手と聞き手へのアプローチは違うのだということに気づけたのもいい経験。小説好きな方が多く、ここがよかったと語るその紹介が興味深くて、読みたい本が増える増える。自分も紹介する本のよさを的確に伝えたいと思って、感想を書く読書ノートを再開。読書会用に書かなくても、過去の読書ノートを読むと日記みたいで意外と面白いのでおすすめです。
◯ みんなで同じ本を読んで感想を話す
2025年に始まったTEGAMISHA BOOKSTOREが開催している「名作を読む会」。こちらは毎月、日本の名作・海外の名作・児童文学と月替わりで読む本が変わります。みんな同じ本について語る読書会で、全部読めてなくても参加できます。ひとりだったら挫折するかもしれない名作を読み、自分なりの感想をしたため、10人前後が広いテーブルを囲みます。
同じ本を読んでいるのに、こうも気になるところや解釈が違うのかといつも驚きます。時代背景を調べてくる方、他の関連本を読んで世界観を深めてくれる方、貴重な全集を持ってきてくださる方など、参加者がそれぞれの興味で感想を語っていきます。ひとりで読むのもいいけれど、自分以外の感想を聞くのもまたとても楽しいものです。海外作品は、訳によって言葉や人物の印象が変わってくるので、それらを比べるのも盛り上がります。
◯ ただただ積読を読む
持ってきた本を読むだけの会。集まった4人で簡単な自己紹介をした後、おもむろに本を読み始めます。借りた施設が和室だったので座布団に座って読んだり、寝転んだり、なんかおばあちゃんの家でくつろいで本を読んでいる気分。持ってきたお菓子をつまみ、好きな飲み物を飲みながら、思い思いの時間を過ごします。
家だとほかのことに気を取られたり、なかなか集中して本を読めない。かといってカフェで読書しようにも休日のカフェの入れなさ! 季節がいいと公園で読むのもいいけれど、時期は限られているし、積読が増えていくばかり。でも、ここは静かで私たちしかいない空間。気づけば3時間経過し、なんとなく読んでいた本を紹介しあい、こんな本を読んでいたんだと最後に知るのもよかったです。
私が夏目漱石の『こころ』の後半に没頭している頃、Wさんは体勢をいろいろ変えながら分厚い海外小説を読みすすめ、Hさんは漫画を2冊読み終え、3冊目の病と障害に関する体験エッセイに手を伸ばし、Tさんはイベントで購入した本を読みながら、思わずという感じで声を出して笑い、伝染して3人も笑って……。ひとしきり笑った後、また、それぞれの読書に戻っていったのでした。
読書会といっても、いろいろな形があります。今回紹介した会は集まっての開催だけれど、オンラインもあるだろうし、自分に合った読書会を選ぶ自由さ、試す選択肢も増えているなぁと感じます。本好きの人と会うと自然と本の話になるのも、いちばんちいさな読書会といえるかもしれません。
最近読んで語りたくなった本はありますか? 私は衆議院選挙の投票日に購入した小説『うどん陣営の受難』。

『こころ 坊っちゃん』夏目漱石/著 文藝春秋
読むなら『こころ』だけでなく、他の夏目作品も読みたいと文春文庫を購入。だいぶ趣きの異なる2編を一度に読めて大満足。おすすめです。
『うどん陣営の受難』津村記久子/著 U-NEXT
4年ごとに開かれる会社の代表選挙をめぐるコメディ小説。会社の方向性を左右する重要な局面に幾度も登場するうどんの存在感たるや。お節介すぎず、程よく心配性な主人公の普通さに共感。津村さんが紡ぐのはいつも「私たち」の物語。