第二回『異常 アノマリー』の異常性

未来屋書店内での海外文学なるジャンルの確立に日々いそしんでいる、ただの海外文学好きによる連載です。
時々、書店員のお仕事もお送りします。書店員という現場目線のお話をお届けできれば幸いです。

 

 『異常 アノマリー』の異常性

 

早川書房から刊行されている『異常 アノマリー』をご存じでしょうか。
今回はその『異常』の異常性について語りたいと思います。

まずはこちらをご覧ください。

 

異常性➀
あまりの面白さについつい1メートルほどのPOP、通称レシートを作ってしまう異常
最初読んだ時の衝撃に震えすぎて、その気持ちをPOPにぶつけました。
文字に起こすと長くなるの、ぜひ画像をご覧ください。
書店的には、日々出版社の拡材や他のPOPがひしめき、こんな長いPOPは貼るところがない問題が発生するのですが、この衝撃をお伝えしたいという一心だけでぎゅうぎゅうに貼り付けています。

 

異常性➁
前代未聞すぎる異常
絶対に驚いていただきたいため、ネタバレ厳禁で語ろうと心に決めていますが、一部内容にふれてしまう可能性があります。

本書は三部に分かれているのですが、一部の終わりの衝撃は絶対に味わってほしい

 

あらすじ
『異常(アノマリー)』は、2021年に発表された小説で、エールフランス006便の乗客たちが異常な乱気流に巻き込まれるという設定から始まります。この作品は、様々な背景を持つ11人の乗客の運命と選択を描いており、彼らが経験する「異常」な出来事を通じて自己や人生に向き合う姿が描かれています。

 

SFなのかミステリーなのか、これは一体どういう方向に向かっているのかもわからず、不安を抱えながら深い森のなかをさまようがごとく、なにかがおかしい、これはどういう物語なのかと、不安に思いながらも手探りで読み始めること第1部

 

この1部の終わりに我々はもう落とし穴にはまっていたのだと気づきます。
ここでようやく、そういうことだったのかとわかるのです!


こんな物語は前代未聞だとむしろ憤りすら感じるレベルで震えます。
異常って、自分の精神が異常になるってことなのかもしれない!などと思いもしました。

そこから続く2部3部の展開もエッジが効いていて、また違った面白さがあります。

 

第2部は彼らの異常事態をどう解決していくのか、それってホントのことなのかと世界中で検証が始まります。
この章は、ニヒルでユーモアたっぷりのため、ニヤニヤと笑いながら読めますが、
根本にある異常事態は全く解決されず、むしろ謎めくばかり。

 

そして第3部
「異常」事態に巻き込まれた乗客たちのそれぞれの人生の決断が描かれています。
人生は後戻りできない決断の連続ですが、この人たちの決断以上の決断は決してないと思います。
胸抉られる決断、応援したくなる決断、そっか…って納得する決断、いろいろな決断があり、どう決断したとしても、そこからまた生きていかねばならないと、私もまた彼らのように生きるという決断をひしとかみしめたのでした。

 

というようなことを、➀の長いPOPに書いたしだいです。
衝撃があり、笑いがあり、哀しみ、そして前を向ける


そんな話です。


とんでもない作品です。


ぜひお手にとっていただければと思います。


長いPOPって、リアルな売場ではものすごく目立っているのですが、大海のごとくインターネット上で、どこまで関心を寄せていただけるのかちょっと不安です。
が、『異常 アノマニー』の異常性だけはお伝えしたい。
ぜひお手にとっていただき
「たしかに、『異常』は異常だ」と面白がっていただければ幸いです。

 

著者紹介

中村 江梨花
未来屋書店新浦安店 副店長

兼 MD改革グループ 海外文学担当

読者と本をつなぐ現場の視点から、いま読まれる物語や、長く残る、とびきりおススメの一冊、書店員のお仕事について発信します!

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